【 遠東金融中心 (Far East Financial Centre) 】
香港の中環(Central)や灣仔(Wan Chai)に聳え立つ超高層ビルは、多くが個性的な風貌をしています。山肌にびっしりと林立した香港島の超高層ビル群は、どのビルも特徴的な形や色をしています。
一番目立つ建物は、やはり香港上海銀行(HSBC)や中銀大廈(Bank of China Tower)ですよね。この二つのビルは、既に香港を象徴する建築として知られています。
中銀大廈の隣に建っている長江集團中心(Cheung Kong Centre)は箱型のビルながら282.9mの高さがあり、先塔型の建物が多い香港の中では人目を引くビルです。灣仔の中環廣場(Central Plaza)や中環の中環中心(The Center)は尖塔を持つビルで、ランドマークとしても重要な建物です。
他にも、ツインタワーの力宝中心(Lippo Centre)や太古中心(Pacific Place)のビル群など、中環ではいつ見ても飽きない位、色々な種類の建物を見ることができます。壁面やガラスに様々な色がついていたり、建物の形状が複雑であったりと、それぞれ特徴的なビルが賑やかに立ち並ぶ様子は、まるで忙しい香港の街を歩く人々を見ているよう、といってもおかしくないでしょう。
そんな香港の超高層ビルには日本では絶対お目に掛かれない、壁面全体が金色のビルも幾つかあります。超高層ビルの中では、たとえば灣仔の中環廣場(Central Plaza)は壁面の一部に金色のハーフミラーガラスを使用していますが、全体的には比較的落ち着いたデザインではあります。
しかし、中環の遠東金融中心はそのスケールが違います。
この建物はまさに派手の極みとも言うべき、壁面は全面ハーフミラーガラス張り、しかも全部金色という、京都の金閣寺もビックリなキラキラビルなのです。外観は直方体の、いわゆる箱型の建物なので、その格好はまるで金の延べ棒を立てたような感じです。
この金色のビルはそんなに高さもないにもかかわらず、ヴィクトリア湾に対して最も海際に位置しているのと、外壁の特徴から、九龍側からもひと目で分かる建物です。更に屋上には巨大なネオンサインが取り付けられていて、夜には香港島の夜景を彩るのに一役買っています。
遠東金融中心は、中環や灣仔などの超高層ビル群の中でも1982年と比較的早期に建てられたビルです。色はともかく、外見はそれほど装飾もなく、どちらかと言うと質素で、いわゆるモダニズム建築の形式を踏襲しています。
この時代、香港では既に合和中心(Hopewell Centre)が最も高い建物となっていましたが、それでも中環で最も高いビルであった怡和大廈(Jardine House)と並んで香港を代表する建物となった遠東金融中心は、当時は金色に輝いて、今よりもっと大きく、煌びやかに見えたのではないでしょうか。
全部が金色であるアプローチも、単に目立ちたいから、派手好きだから…というだけではなく、お金を大切にする、富を願う、成長を期待する、といった、香港ならではの願いが込められているのかもしれません。
【遠東金融中心 (Far East Financial Centre)】
竣工:1982年
高さ:175.0m
設計:Wong & Ouyang
用途:オフィスなど