【長江集團中心:Cheung Kong Center】
長江集團中心(Cheung Kong Center)は、中環(Central)の中銀大廈(Bank of China Tower)の隣に建つガラス張りのビルで、夜の照明がとても綺麗です。
香港にある大規模な超高層ビルは最上部に尖塔が建っているものが多いのですが、このビルは珍しく頂上が平らな箱型です。
香港の人達は、建物を建てたり部屋を作ったりする時に縁起を担ぎます。その代表は有名な香港特有の『風水』や『数字』です。
1990年代、中環では香港上海銀行(HSBC)の香港本店ビルと、中国銀行の中銀大廈とが、風水によって争いを起こしていると言う噂がありました。それは三角形を重ねたデザインの中国銀行が、まるで剣の先を四方に向けて邪気を振り撒いている様なので、それに対抗する為に香港上海銀行では窓拭き用のゴンドラを吊るす為のクレーンを屋上に増設し、あたかも中国銀行に向けて大砲を撃っているかのような格好に仕立てたと言うものです。
ただし、どちらも公式には『風水』によってこれらの出来事が起こされたとは認めていないので、香港に伝わる都市伝説の類なのかも知れません。
また、数字について中国では、最も縁起の良い数字として『8』(八=財産を築くと言う意味の語「發財」の『發』の音に似ている為)、次に『9』(久=永遠と言う意味)や『2』(中国の思想では万物の始まりとなる数…なのだとか)があり、基本的には偶数が良いとされています。
逆に縁起の良くない数字として、『4』(日本と同じく、四=死と音が似ている為)、そして意外にも『7』(香港では、お葬式の時に出る料理の皿数が慣習によって七枚になる事が多い)があり、更に英国の植民地であった香港では、キリスト教の影響で『13』(イエス・キリストが亡くなった日の数字)も忌み嫌われています。
そんな理由で、長江集團中心には『4』の付く数字の階が無いそうです。その為に282.9mと言う高さのわりに、70階もある事になっています(実際は63階建て)。
日本では不思議に思えるかも知れないのですが、香港では縁起担ぎでビル階数の数字を間引く事は良くある事のようです。
また長江集團中心のある敷地の裏手にはちょっとした庭園があるのですが、池などが取って付けた様に配置され、かなり歩き難い場所です。これもやはり風水効果を狙っての事でしょうか?
それにしても最先端の超高層建築が、風水や縁起を気にして設計されているなんて、ちょっと人間味があっていとおしくなりませんか?それが、香港の面白い所でもあるんですよね。
このビルは香港で最も成功した実業家と言われている李嘉誠(Li Ka Shing)氏の総合商社、長江實業(集團)有限公司の社屋です。長江公司は戦後、李氏が始めた「ホンコンフラワー」と呼ばれる造花の製造から、一代で香港随一の財閥にまで成長した事で知られる会社です。
長江のグループ会社には、電話からスーパーマーケットまでを展開する和記黄埔有限公司(Hutchison Whampoa)や、香港に電力を供給する香港電灯(Hong Kong Electric)などがあり、また李氏の次男である李沢楷(Rechard Li)氏は、香港の通信やIT関連企業である電訊盈科(PCCW)を経営している実業家です。
長江集團中心は実業家の経営する会社の本社屋ゆえ、むしろ縁起に固執するのは当然なのかも知れませんね。
【長江集團中心:Cheung Kong Center】
竣工年:1999年
高さ:282.9m
階数:63階建て
設計:シーザー・ぺリ&アソシエイツ (Cesar Pelli & Associates)
用途:オフィス、レストラン、ショップ
URL:http://www.cheungkongcenter.com/