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Wong Tin Yan

1978年香港生まれ。2000年Chinese University of Hong Kong(美術専攻)卒業。青少年のためのアートスタジオで、責任者として勤務。
兼業彫刻家として、廃材になった木片などを、中国伝統の接合技術やDIYスタイルでつなぎ合わせ、動物マンガの彫刻を制作。その作品はHong Kong Museum of Artや個人宅に収蔵されている。香港貿易発展局主催のエキシビション参加アーティストに選ばれ、国内外のエキシビションに参加。また、世界で初めて展示用鉄道車両でのエキシビションを行ったアーティストでもある。

http://www.wongtinyan.com

Wong Tin Yan
先月行われた東京デザイナーズウィーク2007のコンテナ展にも参加したWong Tin Yan。彼の「JUNK WOOD SCULPTURE」=廃木材を使った彫刻から生まれる動物たちは、その大きな存在感のなかにもどこか愛嬌があり、子供の頃のような無邪気な気持ちを思い出させてくれます。青少年のためのアートスタジオを運営し、若者の創作活動にも深く関わる彼の、純粋なパワーが作品にも表れているのではないでしょうか。


1. 最近ではどのような活動をされていますか?作品に対する人々の反応はいかがでしたか?

一番新しい作品は東京デザイナーズウィーク2007のコンテナ・エキシビションに展示された2頭のパンダです。多くの人に好評で、作品と一緒に写真をとっている人たちもたくさんいました。子供達は作品の上にのぼったりもしていました!こういう反応が一番ストレートで、僕は好きです。


2. 作品を作り始めたのはいつ頃ですか? 最初に作った作品について、また彫刻家としてどのようにキャリアを始めたのか教えていただけますか。

1997年から、廃木材を使って彫刻作品を作り始めました。Chinese University of Hong Kongの美術専攻の最終学年にいた頃です。最初に製作した作品は「elephant brothers(象兄弟)」です。卒業後、自分なりのスタイルで廃木材を使った彫刻を作り続けていたところ、ラッキーなことに2001年と2003年のHong Kong Biennial Exhibitionに入選することができました。そのとき、いくつかのギャラリーからグループ展参加の誘いがあり、それが彫刻家としての自分の役割を続けていく自信になりました。


3. 動物の彫刻はどれもユーモラスで、特にモンスターやキリン、牛など(サイズが)大きな作品は、とてもパワフルですね。廃木材を使った動物を作り始めたきっかけは?廃木材を使った動物というアイディアはどのようにして生まれたのでしょうか?

これには長い話があるのですが、(大学の)卒業展で発表する最後のプロジェクトについて考えていたとき、学校の近くで建築関係の仕事が行われていました。僕はそこで彼らが使用後に捨てていた廃木材に心動かされたのです。「木は、とても長い年月をかけて育つものなのに、なぜこんなにも簡単にゴミになってただ捨てられてしまうのか?」「これを使って何か意味のあるものを作れないだろうか?」「アート作品はただ高価な材料を使って作るものではないはずだ」という思いが、子供の頃見ていたマンガのキャラクターの記憶と同時に湧き上がり、それが僕の創作のスタート地点になりました。


4. 東京デザイナーズウィーク2007の「Love from Hong Kong」(香港貿易発展局主催のコンテナ展)にはどのような経緯でこのプロジェクトに参加することになったのですか?東京でのデザインイベントに参加してみていかがでしたか?

キュレーターであるBenny Au(ベニー・オウ)に声をかけてもらい、このプロジェクトに参加しました。彼の、いつもとは違うタイプの創作活動、違うフィールドで活躍する人々や違う場所でのコミュニケーションに対する考え方には感銘を受けました。
もちろん、このイベントに参加できたことはとても嬉しく、特に日本を訪れるのも国外のエキシビションに参加するのも初めてだったので、旅全体がとてもエキサイティングでした。世界中のすばらしいデザインから多くを学ぶいい機会になったし、日本人のスピリットには大きな衝撃を受けました。


5. "Love from Hong Kong"パンフレットの中で、優れた作品というのは、あるものが別のレベルのものに形を変える「魔法(マジック)」だと言っていましたが、自分が作品を作るうえで「魔法」をかけるには何が必要だと思いますか?

「魔法」には「心」または「スピリット」が一番大切になると思います。心のこもった作品は、たとえ子供の作ったものであっても人を感動させることができます。作者が誠心誠意作った作品からは、愛やエネルギーを感じることができるし、その作品自体が僕に語りかけてくることもあります。


6. あなたが住んでいるFotan(火炭)地区は、かつて工場だった建物をスタジオにしているアーティストたちのコミュニティのようなものがあると聞きました。Fotan(火炭)がどのような場所なのか、アーティストたちがその「アート村」のような地域で、どのような活動をしているのか、教えていただけますか。

Fotan(火炭)は以前、香港の主な工業地域の一つでした。ほとんどの製造業が中国本土か東南アジアの国々へと移った後、工場だった多くの建物が空屋になりました。
ちょうどそれが、卒業したばかりの美大生たちが集まって自分たちのスタジオとして借りるよいチャンスになったのです。広いスペースのわりに比較的賃料も安かったので、この地域に移ってくるアーティストがどんどん増え、最終的にアート村のようになったんです。実際のところ、きちんとコミュニティとしてまとまった組織になっているわけではなく、アートスタジオが集合しているといったところです。毎年オープンデーがお互いに顔をあわせる唯一のチャンスです。


7. どんな物事や瞬間にインスピレーションを受けますか? 何か最近インスピレーションを受けたものやできごとがあれば教えて下さい。

マンガ(特に子供向けのもの)には、いつも大きな刺激を受けます。それぞれのキャラクターがはっきりとわかりやすい性格を持っていて、顔の表情も豊か。そして、すべての層の人々から愛されています。僕の作品も同じような魅力を持ったものにしたいです。
また、家具などに使われているさまざまな接合技術を見て、大きなおもちゃなどを作る際のアイディアがひらめいたりすることもあります。


8. 作品を通じて、どんなことを人々に伝えたいですか?基本となるテーマや考えがあれば教えてください。

作品を楽しむということが、僕の基本的な考え方です。多くの人(もしかしたら香港の人だけ??)が「アート」は高尚で奥深いものだと考えていて、理解するのが難しいと思っています。確かにコンテンポラリーアートの作品の中には、観客が楽しむのは難しいようなものがあるかもしれない。でも、すべての作品が「理解」される必要はありません。たまには脳を使わずに、ただストレートに感じることも必要です。僕の作品のように、見る人が何か感じれば、笑ったり一緒に写真をとったりすればいいんです。質問なんてそもそもないのだから、答えを見つけようとするのはやめましょう。


9. 好きなアーティストは

Jean Dubuffet (1901-1985) です。彼の作品とアートに関する考察には考えされられることがたくさんあります。


10. 自分の作品の中で、特に気に入っているもの、自分にとって特別なものを一つ教えてください。

「Monster」という作品は、大学時代の最後のプロジェクトとして製作した、僕にとって特別な意味がある作品です。
これぐらい大きなサイズの作品を作るのは初めてで、一ヶ月近く昼も夜も時間を費やして完成させました。この経験の後、組み立て・解体ができる大きな動物の作品を作るのが大好きになりました。製作にはイマジネーションや問題解決のスキル、完成させるためのエネルギーが必要なので、そのプロセスを通して大きな充実感を得ることができます。


11. 現在の香港のクリエイティブ・シーンについて、他の国と比較してどのように感じますか?ご自身でも子供たちのアートスタジオを運営されていますが、彫刻家として、また子供たちのインストラクターとして、自分はどのようにクリエイティブ・シーンに関わっていきたいと思いますか?

香港のクリエイティブ・シーンは、政府がここ数年力を入れていることもあり、以前よりも少し良くなっています。ですが、一商業都市として、ほとんどの人はクリエイティビティとお金を常に結びつけようとします。クリエイティビティがお金にならない場合、それにはなんの価値もないと考えているのです。これは決してよい現象とは言えず、それに比べるとタイや中国本土のアートシーンのほうが良いように思います。
子供たちのアートスタジオのリーダーとして、また香港の一アーティストとして、アートが日常生活の一部になるということを人々に知らせたいと思います。学生や親たちみんながアーティストになったり、アートに詳しくなったりする必要はありません。でも少なくとも彼らが、雑誌などで持ち上げられたトレンドに流されるのではなく、自分自身の美に対する感覚を確立できるようになってほしいと思っています。


12. これからどんな作品を作っていきたいですか? 次の作品のプランなどあれば教えてください

廃木材を使った僕自身のスタイルで、彫刻と家具とを組み合わせたものを作りたいです。これはすでにかなり長い間計画してきているのですが、香港の土地は狭く、彫刻を置くための十分なスペースを所有している人は多くありません。だからもし僕の作品を家に置いておくことができれば、僕の考えと彫刻が彼らの生活の一部になることができると思うんです。このアイディアを次のプロジェクトでスタートできればいいなと思っています。


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