portrait : Chihoi
智海(Chihoi)

1977年、香港生まれ。「Cockroach」、「Mingpao News (明報)」、「Singpao News(成報)」、「East Touch(東Touch)」、 「Fleurs des Lettres (字花)」など、さまざまなメディアでコミックやイラスト、文章を発表。コミック作品は海外での評価も高く、作品集「Canicola」(イタリア)、「Comix 2000」(フランス)、などにも収録されている。最近では、ヨーロッパのコミック作品のレビューを書き、香港の読者に紹介している。また、コミックとビジュアル・アートについての講師も務める。 主なコミック作品に 「Still Life」 (默示錄)、「The writer and her Story」等。2006年8月に、共同編集によるインタビュー集「The road has been long: 25 years of independent comics in Hong Kong」(路漫漫──香港獨立漫畫25年)を上梓した。

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Chihoiのコミック作品には静かで、文学的な佇まいがあります。ノスタルジーも感じさせながら、どこか不安や悲しさがつきまとうような雰囲気は、彼より少し上の世代のコミック・アーティスト、taksiuhakの世界とはまた違った、独特の強さを感じさせます。
文筆活動や書籍の編集なども手がけている彼に、自身の創作活動について聞いてみました。


1. 最近の創作活動について教えてください。また、それに対する香港の人たちの反応はいかがですか?

最新の仕事といえば、Craig Au Yeung (歐陽應霽) と一緒に編集を手がけた、「The road has been long: 25 years of independent comics in Hong Kong」という本です。これは、過去25年の間、香港で活躍するインディーズのコミック・アーティスト27人へのインタビューと、その作品、バイオグラフィーやアーティストの薦める本などをまとめたものです。
ちょうどこのインタビューの前に、その本全体の再校正を終えたところです。というのも、2刷目が発行されることが決まったんです。思っていたよりも本がたくさん売れて、関係者みんな、本当に喜んでいます。初版はほぼ完売のようです。


2. 絵を描き始めたのはいつからですか? コミック作品はどのようにして書き始めましたか?

絵は小さいころから描いていました。 僕の父は、趣味で、好んでよく絵を描いていたのですが、その隣に座って、父が絵を描くのを夢中になって見ていました。中学から大学までは科学を勉強していたので、絵は単なる趣味でしかありませんでした。その頃描いていたのも、コミックではなく、パステル画でしたし。その後、やっぱり絵を描くことをあきらめられないと感じ、真剣に取り組むようになりました。1996年にLai Tat Tat Wing(黎達達榮/コミック・アーティスト)のすばらしい作品に出会い、その作品にインスパイアされて、コミックを描き始めました。


3. 自分自身のメディアとして、コミックを選んだのはなぜですか?また、文章を書いたり、編集をしたりと別のジャンルの創作活動もされていますが、それは自分自身にとってどういった意味がありますか?それぞれのメディアによって、違いはありますか?

コミックを選んだのは、絵を描くことが好きで、物語を作るのが好きだったからです。執筆や編集をしたり、収入を得るためにイラストを描いたり、学校で教えたりもしていますが、そういった他のメディアがコミックと違うのは、自分の周りの外の世界と関わっているということ。先生から出された宿題をやるような感じです。それは、基本的な生計を立てていくための手段でもあります。でもコミック作品は、自分自身の内的世界に関わること。僕自身に内在する、本質的な問題を掘り下げるためのものです。コミック作品を描くときは、外の世界のことは気にしない、コミックでお金が稼げるかどうかは関係ないんです。自分だけの信念を追求していくものです。


4. 現在、またはこれから、挑戦してみたいメディアはありますか?

今は、木版画作品の準備をしているところです。これまで絵を描いてきたなかで、ドローイングの質感が、フラット過ぎて物足りなさを感じるようになり、もっと自分のイマジネーションの質感と一致するビジュアルを作り上げたいと思いました。木版画を習得したら、またストーリーを作り、木版画で新しいコミック作品ができたらいいなと思っています。


5. 好きなコミックアーティスト、または他のジャンルのアーティストは?

コミックアーティスト:
- Amanda Vähämäki (フィンランド)
彼女の作品はいつでも、純粋さと愛があふれている場所、心の奥深くの一番静かな場所に届いてきます。
- Joe Sacco (アメリカ)
彼の戦争ジャーナリズムについての作品を読むと、世界をもっと良くするために何をするべきか、核心をつかれた気持ちになります。
作家:
カフカが間違いなくベスト。彼は人間の創造性の究極の源。


6. インスピレーションの源となるのは例えばどんなイベント、どんな物事や瞬間ですか? 最近インスパイアされた出来事はありますか?

人間の存在、人間関係、人間の感情(感傷)に何よりも刺激されます。たとえば、この時代に、人々はどのように生きているのか、恋愛で相手との関係に問題が起きたとき、人はどんな振る舞いをするのか、母子、父子、兄弟/姉妹の関係について人々がどう考えているか……こういった問題は、国籍に関わらず、全ての人間が分かち合えるものです。古い本を読んだり調べたりしてインスパイアされることもたくさんあります。過去のものには、僕たちが失ってしまった美しさがたくさんあります。僕の本が同じように長い間どこかで生き続けて、60年後に僕の本を読みたいという人がいてくれたらいいなと思います。


7. 作品からは、ノスタルジックかつ何か心がざわざわするような不穏な雰囲気が感じられます。このような感情は、自分にとって身近なものですか? どこでそのような感覚が生まれてきたり、感じたりしていると思いますか?

ノスタルジックで、不穏…….描写が的確なので、驚きました。その両方が僕の作品の中にはあります。不安を感じさせるような胸騒ぎは、外の世界、または向き合わなくてはいけない憂うつな問題に対しての疑念や問題意識から生まれています。ノスタルジーは解決策を見つけることへの希望です。僕自身は、トラブルに直面したり絶望したときよりも、希望や愛にふれたときに感動したり、泣きたくなったりします。


8. 作品を通じて、読者にどんなことを伝えたいですか?

浅はかな知恵ではない賢さ、かわいらしさではなく愛情、悲しみを経験した後の幸福。


9. 自分の作品の中で、特に気に入っているもの、印象に残っているものはありますか?
理由も教えてください。


Still Lifeに収録されている“Papa”です。 今見返してみても、言葉にできないとても厳格な感情が、自分の中にあります。


10. 現在の香港のクリエイティブ・シーンをどう思いますか?自分はどのように関わっていきたいと思いますか?

僕らの世代のアーティストは、上の世代と比べて、お互いにつながりが多く、幸せだと思います。僕らの上の世代の人たちや下の世代の人たちとも関わって、コラボレートしたり、コミュニケーションをとっていきたいと思っています。


11. これからどんな作品を作っていきたいですか? 次の作品のプランなどあれば教えてください。

200ページぐらいのコミックを描きたいです。親も子も、結婚しながら、それぞれ家庭の外で恋愛関係を持っている家族の話なんですが、この話を描くにはすごく集中しなくてはいけないので、一人きりで落ち着けるように、今、国外でのアーティスト・イン・レジデンスに行く機会を探しているところです。でもそれとは別に、香港の田舎に拠点をおいて、香港中をスケッチして回るというのもやってみたい。海外の人が目にしているのとは全く違う香港の風景を表現してみたいです。

12. 最後に、日本でこのサイトをみている人たちにメッセージをお願いします。

いつか日本を訪れてみたいです。

Cow
Cow
dancer
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Sorry
Sorry
Still Life
Still Life(默示録)
Papa
Papa(爸爸)
Sea
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