Profeel : 747
楊学徳(Yeung Hok Tak)

1970年代に香港で生まれ育つ。
イラストを学び、デザイン事務所、広告代理店、出版社でキャリアを積む。
1999年、Cockroachマガジンでの活動を皮切りに、コミック作品の発表を開始。
2002年、個人でのコミック作品「How Blue was my valley」を発表。
2006年7月、週刊誌での連載をまとめた、2作目のコミック作品集となる
「Psychic's fairy tales」を発表。

先頃発売された最新作「標童話集 (psychic's fairy tales)」も大好評を博しているコミックアーティスト、楊学徳 a.k.a tak。
独特の鮮やかな色使いで描かれる彼の作品には、香港のローカルなネタが満載。
作品中に書き込まれた広東語の文字だけでも雰囲気は十分感じられますが、実際、香港の街や人々をシビアに見つめた、ユーモアや皮肉やノスタルジーがどのストーリーからも濃くにじみ出ています。
これまでの活動から今後の夢まで、彼の創作活動について伺いました。


1. 最近の創作活動について聞かせて下さい。

新しいコミックを発表されたと伺いましたが、それに対する香港の人々の反応はいかがですか?

はい、7月に2冊目のコミック 「標童話集 (psychic's fairy tales)」が出版されました。 結果は上々で、初版はすでに売り切れ、現在増刷中です。僕の耳に入ってくるのは、だいたい「笑える」という感想が多いです。


2. 創作活動を始めたきっかけは何ですか?

仕事がなかったから。というのは、コマーシャル・アートの世界で仕事をすると、クリエイティブでいることが難しくなってしまうんです(僕の努力が足りなかったのかもしれないけど)。何年か仕事をしてみて、デザイナーの仕事は自分には向いていないとわかりました。
自分は絵を描いて、物語を作りたかった。だからそれまでの仕事を辞め、自宅で自分自身の創作活動を始めました。貧乏だった(収入がなかった)こともやる気の素になりました。
無理やりにでも何か創作活動をしなくてはいけなくなったから。そうやって、最初のコミック "How blue was my valley"が生まれたんです。


3. 自分自身のメディアとして、コミックを選んだのはなぜですか?

映画を作るかわりに、ビジュアルイメージを通して物語を描くには、コミックが良いと思ったからです。絵を描くのは得意だったから、コミックで物語を描くことを選びました。


4. 好きなコミックアーティストは?

たくさんいます。笑っちゃうんだけど、実は今、手塚治虫の「火の鳥」を読んでいるんです。もちろん、これは日本のサイトのインタビューだから言ってるんじゃなくて、今になって初めて「火の鳥」がすごい名作だってことに気づいたからです。何十年も前に書かれた作品だけど本当に最近になって読みました。なんで今まで自分が彼の作品を無視してきたのか、なぜ彼の偉大さに気づかなかったのかわからないんだけど。
「火の鳥」で、最近ではめったに感じることができなかった、
漫画を読む喜びを再発見しました。
生きることの意味について考えるところまではまだ感銘を受けてないけど。


5. インスピレーションの源となるのは例えばどんなイベント、どんな物事や瞬間ですか?

新聞やテレビ、毎日見ているインターネットのニュース。


6. 作品を通じて、読者にどんなことを伝えたいですか?

何かを「伝え」ようとは思っていません。とにかく読者が自分のコミックを読んでいる間、楽しんでくれればいいなと思います。


7. 色の使い方がとてもユニークで、印象的です。

いろんなツールを使って描いているようですが、主にどんなツールを使いますか?最近気に入っているスタイルはありますか?

手かな...あ、おもしろくなかったね(笑)。一つのツールにこだわったりはしていません。コンピュータでAdobe Illustratorを使ったり、デジタル画板に描いたりすることもあるし、アクリルやペン、インク、水彩で描いたりもする。最近はボールペンを使うのが気に入ってます。
決まりきった色使いに縛られず、自由に色を使いたいんです。
特に人の形を描く時には。中国ではよく「皮膚が青くなったら、
それはあなたが不幸ってことだ」と言います。
僕はそういう迷信を常に拒否しようとして、僕の絵のキャラクターを青や緑で描いたりするけど、今のところ僕のキャラクターは誰も死んでないよ、ハハハ。


8. 自分の作品の中で、特に気に入っているもの、印象に残っているものはありますか?
  理由も教えてください。


"tree"という作品です。これはある雑誌のために製作したもの。なんとなく安いシンプルなボールペンを使って絵を描く楽しみを発見したんです。一日でなんとか描きあげようと思って急いでやったから、終わった後手がすごく疲れたけど、この作品が今までの自分の作品の中でベストだと思います(もちろん自分自身の基準で、ですが)。(この作品を製作した)その日は、休憩もせずに描きあげました。描いている間にすぐ集中力をなくしてしまう僕にはめったにないことなんです。すぐに一息ついたり、食べものをつまんだり、トイレに行ったり、Xboxでゲームをしたり、ウェブでポルノサイトを見たり.....でもこの作品にはかつてないぐらい集中したなあ(急ぎだったからかもしれないけど)。自分がほんと一度だけ、いい子だったような気がします。


9. 現在の香港のクリエイティブ・シーンをどう思いますか?

生き生きしてる。でも世界の流行を追っていて、香港独自の特徴に欠けている人もいる。


10. これからどんな作品を作っていきたいですか?次の作品のプランなどあれば教えてください。
     
唯一、僕が自分の人生を捧げたいと思うもの、グラフィック小説を作り続けたいですね。
1841年のイギリス人来港から1997年まで続く、香港の植民地時代の歴史についてのストーリーを描きたいと思っています。おもしろいことに、香港の人々は植民地支配から香港を取り戻して国民としてのプライドを取り戻したと言っているけど、心の中では過去の黄金時代を懐かしんだりしている。だから、その「黄金時代」についての話をいくつか描いたらおもしろいんじゃないかと思うんです。
きっとずいぶんリサーチや勉強が必要になる、大変なプロジェクトになりそうなので、いつ始めていつ完成できるのかまだよくわからない。でもこれからずっと(このプロジェクトについて)心に留めておこうと思います。いつか夢がかなうといいなと思います。


11. 最後に、日本でこのサイトをみている人たちにメッセージをお願いします。

"Arigato" ありがとう。
ぜひ感想など聞かせて下さい。
実際、僕の作品はすごく「香港ローカル」なので、外国の読者が理解できるのか気になるところなんです。
だから読者からのコメントは本当に欠かせないものなので。

Bonding
Ghost festival
Home & Garden
The Umbrella Daily
Hello Kitty Party Queen
How blue was my valley
Designer Charity Sneaker Project
The battle of the noon
My Melody
Psychic fairy tales #7
Tree